どうも村田です
伊東の言い分はこうなのだ。
「長州征伐が失敗した
からには、長州はほかの激派を
誘って倒幕ののろしを上げて
くるに違いない。
その探索が急務となるから、
彼らは新撰組を目の敵にしている
ので、 探索するのであれば新撰組
とは別の組織を作った方がいい。
その別の方の組織にわれわれが
なるから、あなた方新撰組は
そのままいて、われわれは分離して
探索を行う」と、
要するに今の新撰組とは分離した
組織にしたいと、こういうふうに
言ったのだ。
要するに脱退ではないのだと、
それは言葉のあやみたいなもの
なのだ。
しかし本音は、
「幕府が長州に敗れた以上は、
このままでは近藤らと、これまで
新撰組として浪士をたくさん切って
きた近藤らと行動をともにすれば、
本来の攘夷(じょうい)の目的は
遂げられないばかりか、幕府の犬
だと言われるのではないか。
そうなると、われわれは将来
どうなるか分からない。
われわれは攘夷(じょうい)だと
言っているのに、
むしろ幕府の犬の開国派にされて
しまう。これはたまったものではない。
これはやはり新撰組と幕府を
見限った方がいいのではないか」
と伊東は思ったと思うのだ。
こういうことで伊東は、近藤・土方は
絶対に認めないと言ったのだが、
これは交渉が続き、しかも伊東に
くみする人間が10人ぐらいいたわけ
だから、
とてもではないけれど、これで
ずっといつまでも言い争っていても
仕方がないと言っていたさなかの
12月29日に孝明天皇がご崩御に
なったのだ。
孝明天皇がご崩御となったことで、
孝明天皇は当然だが御陵に葬られる
のだが、その御 陵衛士、孝明天皇の
お墓を守る侍
御霊衛士になると、そういう
ものになるのだったら許して
くれるだろうということを言った
のだ。
結局いつまでも新撰組とけんかを
していても仕方がないから、新撰組
としても仕方がないし、
会津藩としてもそういう状況では
新撰組として行動ができない
ということで、
松平容保は仕方がないということで
もってこれを認めて、伊東は
孝明天皇の御霊を守る御陵衛士に
なるという名目でもって、
翌慶応3年1月、伊東一派は
新撰組から離脱、分離する
ことになったのだ。
この時にいろいろと約束をして、
離脱する人間は15人、それ以上の
人間は認めないということにしたのだ。
伊東甲子太郎と、実は実の弟がおり
鈴木三樹三郎、それから篠原泰之進、
服部武雄、それ から藤堂平助、
この辺の名前は覚えておいたら
いいかもしれないが、加納鷲雄、
こういう人たちが分離をしたのだ。
それから斎藤一も分離したのだ
実はこの斎藤一というのは
試衛館道場以来のメンバーでは
あるけれど、
実はこれは近藤勇 (いさみ)が
相手方の伊東派に潜り込ませた
スパイであるのだ。
同時に伊東派も新撰組にスパイを
残していくのだ。
それは茨木司というのだが、
それはそれぞれスパイを1人ずつ
残していったということなのだ。
しかも、それはお互いに大体これが
スパイだということが分かっている
から、大体仲間同士の話だから、
それは分かるのだ。
そういうことで、15人が伊東と
ともに新選組を離脱していった
のだ。
問題は藤堂なのだ。
藤堂は試衛館道場以来の仲間
だったのだが、藤堂自身は
伊東甲子太郎を 近藤勇(いさみ)に
紹介した人間でもあるし、
かつて伊東甲子太郎の門弟でも
あったから、そういう中で自分は
どちらに付くか悩んだと思うが、
最初の門弟であった、近藤の前に
師匠であった伊東甲子太郎、
そして自分自身が伊東甲子太郎を
連れてきた、
呼んできたという気持ちもあった
かもしれないけれど、藤堂も分離
したのだ。
それはとても池田屋事件の時に
一緒に斬り込んだ仲間だから、
みけんを切られて途中で離脱する
わけだが、
斬り込んだ仲間だから、近藤から
すると藤堂が分離したことは
大変に遺憾だったというか、
残念だったと思うのだ。
15人以外の分離は認めない
ということで、この約束が近藤と
伊東との間で交わされたのだが、
今度はさらに何人かの者が、
「われわれも実は伊東派に入りたい」
ということでもって分離を申し出る
のだ。
分離を申し出たけれど、そして
伊東派に行くのだが、伊東は
真面目な男だから、近藤と約束した
以上、それを受け入れることは
できないと言うのだ。
彼らとしては帰る場所がなくなって、
彼らも実は切腹するというような
事件が起こるのだ。
さて、それはそれとして
分離した伊東一派は、最初は
西本願寺のお寺を出て、
当時は西本願寺に新撰組の屯所が
あったのだが、洛中の寺々を転々と
した後に、
6月になって豊臣秀吉の奥さん
である北政所が建てた東山の
高台寺の塔頭(たっちゅう)である
月真院というところに移ったのだ。
高台寺は大変大きなお寺で、だから
幾つもの塔頭(たっちゅう)がある
のだが、その中の1つに移ったのだ。
続きは次回だ
今日はこのくらいにしといたる