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コンバットマンの話なんじゃ

どうも村田です

三島由紀夫原作の作品の中に

『太陽と鉄』

という本があるのだ。

このタイトルで

「太陽と鉄と私」

というタイトルを付けたのだが、

実はこの中の 99~102 ページに

わたって

私と三島先生が射撃訓練視察を

した時のことが書いてあるのだ。

私もこれを見た時には

「ここに記録してあったか」

と驚いたのだ。

今からこの内容を少し読んでもらう

けれど、その前に少し要約していくと、

前日から三島先生に私が

「明日、実は富士学校の幹部初級

過程の標定銃射撃といって対戦車砲

の中に付いているキャリバー50の

射撃訓練があるので見に行きましょう」

と言って、

これは岩田一尉にも誰にも言って

なくて、自分と三島先生との2人の

約束だけだったのだ。

たまたまその日は、三島先生は

何もない日だったので

「だったら私が退屈しのぎに」

と思っていたのだが、当日は雨と

風がすごかったのだ。

私はその前の日に、

「先生、気合入れて待っていて

くださいよ。何かと言ったら、

要するに自衛隊っていうのは小雨結構、

大雨歓迎ですからね」

と一言いって、先生は何を言って

いるのかあまり承知していなかった

と思うのだが、当日がやはり雨だったのだ。

午前中は霧がかかっていたのだが、

射撃というのは霧がかかると目標が

見えないから、

そうすると射撃ができないから

霧が晴れるまで待っているのだ。

富士の気候というのは、特に雨が

降ると春先なんかは霧が出るので、

私は現地に飛んで行って、

富士学校のヤジ教官に

「教官、観測的にどうですか?予報は」

と言ったら、

「午後から晴れんじゃねえか」

と言っていたので、現地にずっと

張り付いていたらバッと晴れたのだ。

それで教官が

「もう射撃するよ」と言ったので、

取り急ぎでジープで帰ってきて

「先生、出発」と言ったら、

もう驚いたわけなのだ。

「おまえの言っていること意外性が

高いな。さらにもっと言ったら

予想外である、そんなことは。

私が暖を取って腰をもう貼り付けて

いるのに、俺を思いっきり引っ張り

出してそんな雨でずぶぬれになる所へ

連れてこうとしているのか」

という内容なのだ。

しかし先生は、私の命令と指示に

従って射撃訓練を見に行くのだ。

それが自分にどれだけ参考になったか、

私がそこで三島由紀夫先生にどういう

影響を与えたかということが読み取れる

のだ。

そしてそれが自決への道、

要するに先生は5名で行ったのだが、

これが原案だったのだ。

これがもし10名だったら失敗

しているのだ。

10名というのは、自衛隊では班長が

10名を指揮するのだが、陸曹三曹が

10名を指揮するし、

30人になると小隊長、幹部が指揮するのだ。

それで冨澤さんが言う通りに、

中隊長は100~150人を指揮する、

連隊長は 1,000 人という単位で指揮

しているのだが、

この状況からして三島先生があの

最後の自決の場面が自分のシナリオ

通りにいったということは、5名で

行ったからなのだ。

それをここで彼は気付いたのだ。

この状況で気付いたのだ。

それを今から、先生の作品を

見ながら説明をするのだ。

「…さうは云っても、私は決して

軍人なのではなかった。軍人といふ

職業が甚だ技術的なものであり、

いかなる職業にもまして永い周到な

教育期間を要し、しかも一旦修得した

ものを失はぬためには、

あたかもピアニストがその繊細な

技巧を失はぬために毎日の練習を必要

とするやうに、

いかに一刻も油断のない修練の累積を

要するかは、私がよく見よく学んだと

ころであった。

ごくつまらない任務も、はるか至上の

栄誉から流れ出て、どこかで死に

つながってゐるといふことほど、

軍隊を輝かしいものにするものは

あるまい。これに反して、文学者は

自分の栄誉を、

自分がすみずみまで知悉してゐる

内部のがらくたから拾い出して、

それを丹念に磨き出すことしか

知らないのだ。

われわれは二種の呼び声を持つ。

一つは内部からの呼び声である。

一つは外部からの呼び声である。

その外部からの呼び声とは『任務』

に他ならない。もし任務に応ずる心が、

内部からの声とみごとに照応してゐたら、

それこそは至福といふべきであろう。」

今の部分だが、非常に三島文学は

分かりにくいのだ。

これを読んで分かる人というのは、

まずいないと思うのだ。

私も何回読んでも理解できないのだ。

それで、あるヒントを頭の上に

パンッと描いたらサーッと解けたので、

今言っていることは、

先ほど概要を説明したけれども、

「こういう日に荒野から迎えに来た

ことが私を喜ばせていた」

という、

これはコンバットマンの話なのだ。

つづきは次回だ

今日はこのくらいにしといたる

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