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特色なんじゃ

どうも村田です

中野学校の学生の徴募は、

陸軍士官学校や陸軍大学校

のそれとは大きく異なるのだ。

どういう人間が諜報要員に

向いているのだろうかだが

一般的に考えられるのは、

頭が良くて平気で嘘がつける

人間だと思うのだ。

しかし、それだけでは

物足りないのだ。

自分自身の体験から考えて、

人間として「ハート」があり

誠実な側面も求められるのだ。

「虚」と「実」の世界を

生きぬくためには、ジキル

だけでもダメ、ハイドだけ

でもダメなのだ。

善悪を矛盾なく兼ね備え、

複合的で一概には

割り切れないような

多重人格者がいいのでは

ないかと思うのだ

CIA要員のリクルートに

関する興味深い話を

聞くことができたのだ。

「CIAはオルドリッチ・

ヘイゼン・エイムズ

(CIA工作官だったがソ連

KGBの諜報要員となり、

一九九四年に逮捕された)

などのように、常に

二重諜報要員の裏切りに

悩まされてきた。

そんな理由で、最近CIAは

モルモン教徒を諜報要員要員に

リクルートしているのですよ。

厳しい戒律を実践する

モルモン教徒は人や組織を

裏切らない。

同様の理由で、

モルモン教徒はアメリカ

企業の経理部門などお金に

関する部署に採用される

のですよ。

またモルモン教では、

一八歳から二五歳の

若い男女が

約二年間ボランティア宣教師

として、世界各地で布教活動

をします。

その間に外国語を覚え、

その国の文化や歴史などに

ついても学びます。

CIAがリクルートする

上では好都合ですね」

要するに、諜報要員を管理

する側(諜報要員マスター)

にとっての一番の脅威は、

二重諜報要員にリクルート

されることなのだ。

敵側に捕まって、逆に

取り込まれてしまうと、

致命的な被害を受けるのだ。

だからこそ、絶対に

裏切らないモルモン教徒の

リクルートに力を注いで

いるのだ。

では、中野学校の学生は

どのような人物を集めたのか。

諜報要員の資格は、

広い知識と柔軟で融通の

効く能力を備え持つ者なのだ。

そのため、

まず陸軍予備士官学校出身

の将校が集められたのだ。

陸軍予備士官学校とは、

陸軍士官学校とちがい、

一般大学卒業者を将校に

するために教育する機関

であるのだ。

後には、陸軍士官学校出身の

将校や教導学校

(下士官養成機関)

出身の下士官も採用される

ようになったが、当初は

予備士官学校の出身者だけが

採用されたようなのだ。

例えば、

一九四五年一月三日に

中野学校に入校した

丙種第8期の例では、

一五〇名のうち、

九〇%以上は一般大学や

高等専門学校の出身者で、

東京帝国大学出身者が

最も多く、次いで拓殖大学、

東京外事専門学校

(現在の東京外国語大学)、

そして早稲田大学、

慶應義塾大学、明治大学

などが続いたのだ。

拓殖大学からの入校者が

早稲田大学、慶應義塾大学、

明治大学などよりも多いのは

頷けるのだ。

拓殖大学の建学の精神は、

台湾協会学校設立時に

桂太郎が唱えた

「積極進取の気概とあらゆる

民族から敬愛されるに値する

教養と品格を具えた有為な

人材の育成」

となっているのだ。

また当時学監

(現在の学長に相当)

だった新渡戸稲造の影響もあり、

校歌にある

「人種の色と地の境我が

立つ前に差別なし」

と聖書マタイによる福音書の

一節を引用した

「地の塩となれ」

を教育方針としているのだ。

この建学の精神は期せずして

陸軍中野卒業生に求められる

精神や資質と合致しているのだ。

大東亜戦争で南方作戦に従軍し、

マレーの虎・ハリマオを

F機関にリクルートした

稀代の快男児

神本【かもと】利男氏

(中野学校二期で唯一人の

民間人で拓殖大学の建学の

精神を見事に体現した人物、

の生き様を見れば理解して

いただけるだろう。

一般大学出身者から選抜された

理由は、諜報要員としての

幅広い学識と冷静な視点の他、

一般社会の生活習慣に

馴染んでいることが

求められていたためなのだ。

職業軍人たる陸軍士官学校卒

の現役将校の場合、軍人として

の規律や高度な軍事知識は

身に付いているものの、

その知識や慣習は一般社会とは

偏っているため、判断を誤る

恐れがあると思われたのだ。

また、態度にも軍人らしい

雰囲気が出てしまうため、

商社マンや新聞社通信員などの

民間人を装っての諜報活動では

妨げになると考えられたのだ。

選抜方法は、まず

予備士官学校に依頼して、

生徒の中から諜報要員に適任と

思われる学生を選んでもらい、

あくまでも本人の意思を

尊重した上で推薦書類を

提出するのだ。

書類選考を通過した者は、

身体検査や口頭試験などを行うのだ。

憲兵による家庭調査も

行われたようなのだ。

合格者は中野学校とは別の

場所に集められ、もう一度

身体測定を行って、

最終的に本人の意思を確認

して採用が決まるのだ。

軍隊では、配属命令は

一方的・絶対であり、

陸軍中野学校のように

本人の意思が尊重される

ことは珍しいのだ。

自分に確固たる意思がない

者は、逆に諜報要員として

不適格だったのだ。

出世も名誉も捨てて、

影の中に身を潜めて国の

ために尽くすのだ。

強い自覚とお国のためという

誠の心がなければ務まらない

ほど、過酷な任務なのだ。

また、学力だけでなく、

剣道や柔道など体力も

優れた者が選ばれたようなのだ。

諜報要員としての本質上、

各専門知識だけでなく、

精神面と肉体面に優れた

者を選抜していたのだ。

もちろん、口が堅いことも

絶対条件なのだ。

自分が諜報員であることは、

家族にも内緒にして

おかなければならなかった

のだ。

続きは次回だ

今日はこのくらいにしといたる

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