どうも村田です
論より証拠というけれど、
この世は証拠より論
なのである。
いかなる証拠をあげても
大虐殺なかった派は
あった派を降参させる
ことはできない。
話しあいはできないのである。
(後略)〉
(『文藝春秋』平成10年10月号)
さて、夏彦翁がこれを書いて
私たちが「国家」としての
健康を取り戻すために必要な
ことは何か。
「問答は無用」というのは、
実は民主主義の否定では
ないのだ
これまた先哲の言葉を借りるが、
福田恆存が
〈信頼の鍋蓋で不満の臭気を
押へる事が話合ひなら、話合ひ
こそ民主主義の敵である。
元来、民主主義とは話合ひに
よつては片の附かぬ対立を処理
する方法の一つなのである〉、
〈民主主義が相互理解の為の
話合ひだといふ誤解は、今や
善意の誤解の域を脱して、
頗る現代的な偽善と感傷の風を
帯びて来てゐる〉
と書いたのは半世紀も前なのだ
(「偽善と感傷の国」
『文藝春秋』昭和43年8月号)。
具体例として日韓問題の経緯を
俎上に載せたが、福田恆存のいう
「偽善と感傷の国」というのは、
すっかり我が国の常態では
ないだろうか
この払拭が平成の次の御代に
生きる日本人の課題だと思う
のだ
さて、若い方々にとっては
気の遠くなるような昔の
ことかもしれないが
そのころは高度成長期で、
とにかくアメリカに追いつけ
追い越せという時代の気風が
あったのだ
この伝統的なメディアの時代から、
現代は相当違ってきているのだ
大きく違うのは、『日経新聞』や
『産経新聞』、『朝日新聞』など
新聞社が報道する内容は、
ITメディアがはびこる
以前はなかなか真偽のほどが
チェックできなかったのだ
今は世の中が一変して、特に
メディア関係はソーシャル
ネットワークサービス、
SNSがすさまじく広がって
いるのだ。
一般の読者の方、特に若い方は、
SNSで何でも無料で読めて
しまう時代なのだ
パソコンやスマホがあれば、
ありとあらゆる情報を得る
ことができるのだ。
そこから
「これがやっぱり本当だ。
あの新聞は嘘をついている。
この記事は正しくない」
などと思うことも多いと
思うのだ
1970年、今から50年以上前、
『日経新聞』は、どうしても
産業界と非常に接点が多いわけ
なのだ
企業の中には広報、あるいは広報
担当に代わる部署があり、そこが
窓口になって応対するという
ケースが多かったのだが、
一部の担当者は
「日経新聞などは企業の
言いなりだろう」
と思い込んでいたのだ。
けしからんと思うような、
尊大な人もけっこういたのだ。
しかし、記者という役割が
一体誰のためにあるのか
というと、
硬い言い方をすればやはり
「社会の公器」なのだ。
だからその使命を果たす
ためにも、そういう人たちの
言いなりになっては情けない
という思いがあったのだ
その一方で新聞社は、社会の
公器であるがゆえにそれなりに
優遇されているのだ。
公共性があるから、実際は
いろいろな公的なサポートを
受けているのだ。
例えば「再販制度」の適用に
なっているのもその1つで、
価格を値下げしないのだ。
「再販制度」
正式名称は
「再販売価格維持制度」。
メーカーが卸売業者や小売業者に
販売価格を指示・拘束することを
法的に許容する制度。
本来、再販売価格維持は独占
禁止法で禁じられているが、
1953年の法改正で医薬品など
一部商品が例外的に認められた。
その後、全廃されたが、新聞を
はじめ書籍や音楽メディアなどは
著作権保護の観点から定価販売
が認められているのだ。
新聞を駅で売るのに一部幾ら、
さらに月極め料金は幾らと
言ったら、そこからもう値引き
しないのだ
価格を下げないから利益が保証
される、つまり保護されている
ということなのだ
優遇されているからこそ
「社会の公器」として
「原点に立つ」ということを
胸に刻み
「私はあなたの会社に都合の
いいことを書くために来た
のではない。
そのために新聞記者になった
わけではないのだ」という
ことをしっかりと心に置いて、
「あなたの会社のやっている
ことはやはり間違っている
のではないか」と、
きちんと調べてリポートしたのだ。
すると、時にはものすごい
抗議を受けたりすることもあり
水島工業地帯という有名な
コンビナートがあり、そこに
大手の企業が進出していたのだ。
そこで特に問題になっていたのが
公害で、その取材を担当したのだ
『朝日新聞』などほかの
全国紙や地元紙は、記者の人数が
多いため複数で取材に当たる
のだ
最も一般的なやり方は、住民
サイドに立つと称して公害反対
の市民運動の人たちから話を
聞いて回る方法なのだ。
だから
「大変だ、大変だ」
と煽るような記事が多いわけ
なのだ
人海戦術のような取材はできない
から、まず客観的なデータを
手に入れることから始め
反対運動の人たちも取材は
するのだが、それを鵜呑みに
しないのだ。
なぜかというと、概して
政党色がついてしまうから
なのだ
反対のための反対、あるいは
反対しながら裏で保証金の
ようなものをもらっているなど、
どうしても金銭の授受が
あったりするのだ。
そういうことが実態で、非常に
ドロドロしてるのだ。
だから一方にだけ偏った記事を
書くと間違ってしまうのだ
効率よく取材し、しかも鋭い
リポートを出さなければ
いけないから
かなり深く絞っていろんな分析
記事を書くのだ。
事実を伝えるためにあくまでも
第三者としての視点に立ち、何が
正しいのかを冷静に分析するのが
本当のニュースだと思うから
なのだ。
企業が誠実にしっかりと対応
しているならきちんと評価するが、
何かごまかしている時には激しく
批判したのだ。
するとやはり、特に企業の方
から抗議を受けるわけなのだ
続きは次回だ
今日はこのくらいにしといたる