どうも村田です
日本国民(特にマスコミ)
のほとんどが勘違いしている
が、日本の「潜在成長率」
とは、
「日本経済の潜在的な
生産能力の拡大ペース」
ではないのだ。
正しくは、
「日本経済の過去平均の成長率」
になるのだ。
上記が事実であるにも
かかわらず
(内閣府もそう説明している)、
マスコミでは潜在成長率の
低迷について
「日本経済の潜在力が伸びない」
という印象の記事が書かれ、
「ならば、競争の激化を
もたらす構造改革だ!
規制緩和だ! 民営化だ!」
というレトリックで、
「潜在成長率を引き下げる」
構造改革が推進されてきたのだ。
とはいえ、現実には潜在成長率
とは「平均成長率」に過ぎない
ため、日本のGDPが拡大すれば、
勝手に潜在成長率も上昇するのだ
何しろ、過去平均なのだ
なぜ、このような事態に
なっているのかと言えば、
日本が潜在GDPについて
最大概念ではなく、平均概念
を採用しているためなのだ。
平均概念と最大概念の
何が違うのか?
日本の労働力や資本がフル
稼働した際に生産可能な
GDPが、最大概念なのだ。
それに対し、平均概念は労働力
や資本の「過去の平均」で
稼働した場合に生産できる
GDPなのだ
そもそも、日本経済の
潜在的生産能力を意味する
はずの潜在GDPが
「過去の生産の平均」なのだ
というわけで、経済成長が
実現すると、それだけで
勝手に潜在GDPは大きくなり、
潜在成長率も上昇するのだ。
国民に誤解を与えない
ためにも、潜在GDPとして
最大概念を採用するか、
もしくは「潜在GDP」
「潜在成長率」を
「平均GDP」「平均成長率」
という言葉に改めるべきなのだ
現在の日本の定義では、
潜在成長率は
「過去の平均成長率」に
過ぎないため、
「政府が大規模財政拡大を実施し、
GDPを拡大する」と、
確実に上昇することになるのだ。
日本の潜在成長率というか
平均成長率を高めたいならば、
政府の財政支出でデフレ脱却
をすればいいのだ。
ただ、それだけの話なのだ。
潜在成長率とは「そういう統計」
なのだ。
ちなみに、GDPの基準が
2015年に改訂され、
「過去」のGDPが上方修正
されると、
潜在成長率は「何もしていない」
にもかかわらず上昇したのだ。
もっとも、
「日本の潜在成長率は、
過去のGDPの成長率の
平均に過ぎない」
と言われても、
信じられない人がほとんど
だろうと思うのだ。
何しろ、例えば100mを
10秒で走るアスリートがいた
として、
「貴方のベストタイムは、
過去平均の10・5秒です」
と言われているのも同然なのだ。
というわけで、いくつか
証拠をお目にかけるのだ
まずは、潜在成長率の
定義であるが、公益財団
法人国際通貨研究所の
解説が最もわかり
やすかったので、引用するのだ
「潜在成長率
GDP(国内総生産)には
名目GDPや実質GDP
といった
実際のGDPと、
潜在的なGDPの2つがあり、
そのうち潜在的なGDPの
前年比伸び率を
『潜在成長率』と呼びます。
潜在的なGDPとは、
一国がモノやサービスを
生産するために必要な
各生産要素を、
それぞれ過去の平均的な
水準で供給した場合に
実現できると推計される
GDPです。
https://www.iima.or.jp/abc/sa/10.html
一国がモノ(財)や
サービスを生産する
ために必要な各生産要素
(労働、資本、生産性)を
「過去の平均的な水準で
供給した場合に実現できる
GDP」とは、
要するにGDPの
過去平均なのだ
何しろ、過去のGDPは、
財やサービスの生産のために
労働、資本、生産性が
「投入」された結果として、
生産されているのだ。
潜在成長率は、
潜在GDPの成長率。
そして、潜在GDPは、
財やサービスの生産に
必要な要素を
「過去の平均的水準」
で供給した場合のGDP
繰り返すが、潜在GDPは
「日本経済の潜在力
(最大の生産能力)」
ではないのだ。
過去平均なのだ
無論、潜在GDPの統計を
担当する内閣府も、そう
説明しているのだ
「経済財政分析担当では、
潜在GDPを
『経済の過去のトレンドから
見て平均的な水準で生産要素
を投入した時に実現可能な
GDP』と定義したうえ、
『生産関数アプローチ』により、
以下の過程を経て推計を行って
いるのだ。
① 現実資本投入量を推計した
うえ、その過去の動向から
平均的な稼働状況の下で実現
される潜在資本投入量を推計
(資本ストック及び資本稼働
率を推計することにより算出)
② 現実労働投入量を推計した
うえ、その過去の動向から
平均的な稼働状況の下で実現
される潜在労働投入量を推計
(平均労働時間及び就業者数
を推計することにより算出)
③ 生産関数
(コブ=ダグラス型生産関数
を想定)を用い、現実GDP
から資本投入量と労働投入量
の寄与以外の部分(残差実績)
を算出し、そのトレンドを
全要素生産性
(TFP)として推計
④ ①~③で推計された
全要素生産性(TFP)、
潜在資本投入量及び労働投入量
を生産関数に代入すること
により潜在GDPを推計
https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp173.pdf
資本、労働、TFPは、
フル稼働ではなく
「過去の平均的な稼働状況
(あるいは「トレンド」)」
で潜在GDPとして積み
上げられるのだ。
つまりは、デフレで資本
(工場など)や労働者の
稼働率が低くなってしまうと、
「現在の潜在GDP」が
縮小することになるのだ。
続きは次回だ
今日はこのくらいにしといたる